心のブレーキを解除する!認知科学とコーチングの融合

「認知科学コーチングって最近よく聞くけど、実際どうなの?」「本当に効果があるの?」「受ける前にどんなことを知っておけばいいの?」
そんな疑問や不安を抱えている方に向けて、この記事では初心者でも理解できるように、認知科学に基づいたコーチングの基礎から実際の体験談までを丁寧に解説します。

特に、こんな悩みをお持ちの方には役立つ内容です。

  • 一歩踏み出したいのに行動できない
  • 自分のやりたいことがわからない
  • モチベーションやメンタルを安定させたい

この記事を読むことで得られる内容は、以下の3つです。


1. 認知科学コーチングの全体像と、従来のコーチングとの違い
2. 効果的なゴール設定・脳の仕組みに基づくセルフマネジメント法
3. なぜ今まで自分を変えることができなかったのか


本記事の執筆者は、プロフェッショナルコーチング資格を持ち、ファイナンシャルプランナーとして20年以上の実績を持つ専門家です。これまでにFP×コーチングの手法で1,000件以上の家計・人生相談を行ってきた実績があります。

この記事を読み終える頃には、あなた自身が「認知科学コーチングを受けるべきかどうか」だけでなく、「どう活かすか」まで明確になるはずです。

3分で読める内容ですので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

認知科学コーチングの基本と他のコーチングとの違い

主流のコーチングと何が違う?

認知科学コーチングは、一般的なコーチングと比べて「脳の働き」や「無意識の仕組み」をベースにした理論に基づいています。これが、従来の質問型コーチングとの大きな違いです。

一般的なコーチングでは、「相手の答えを引き出す」ことが重視されますが、認知科学コーチングでは脳の情報処理のクセ意識と無意識の関係性に焦点を当てて、「そもそも何に気づいていないか」「どこに意識が向いていないか」を明確にしていきます。

この違いは、ゴール設定の方法にも表れます。多くのコーチングは「達成可能な目標」を設定するのに対し、認知科学コーチングでは現状の外側にある“心から望むゴール”を明確にし、それに向けてマインドの仕組みを整えていきます。

コーチングのイメージを変える

「コーチング=ビジネスの成果を上げる手法」「エリートや管理職向けのもの」といった印象を持っている方も少なくないでしょう。しかし、認知科学コーチングでは、誰もが持つ脳の仕組みを活かして、人生全体の質を向上させることを目指しています。

以下のような人たちが、認知科学コーチングで成果を出しています。

  • 主婦や学生
  • 転職や副業を考えている会社員
  • 子育てや家庭と向き合いたい親
  • 自分の人生の方向性を見直したい人

つまり、「目標が明確でない人」や「自己肯定感が低い人」にこそ役立つのが認知科学コーチングなのです。

認知科学に基づくコーチングとは?

認知科学コーチングは、脳科学・心理学・言語学・人工知能などの学際的な研究から生まれました。その中でも特に重視されているのが「人の認知=ものの見え方や捉え方」です。

人間の脳は、1秒間に約1100万ビットの情報を処理していると言われていますが、意識的に扱えるのはそのうちたったの40ビット程度(出典:ノーバート・ウィーナー、MIT)。つまり、ほとんどの情報は「無意識」によって選別・処理されているということです。

この無意識のフィルターを認知科学では「RAS(網様体賦活系)」と呼びます。このRASを上手に活用することが、認知科学コーチングの核となっています。

認知科学コーチングの理論的背景

脳の情報処理機能

人間の脳は、大量の情報をすべて処理することができないため、「必要なものだけを見る」「重要でないものは見えなくなる」という選択的な処理をしています。これが先述のRASの働きです。

人間の本能は「変わりたくない」

実は、人間の脳には「現状維持バイアス」という働きがあります。これは、変化を危険とみなす原始的な本能で、たとえ現状が不満でも「今のままが安全」と判断してしまうのです。

このメカニズムは進化心理学でも説明されており、生存を最優先する脳の特性とされています(出典:American Psychological Association)。

そのため、「新しいことに挑戦したい」と思っても、無意識ではブレーキがかかってしまいがちです。認知科学コーチングでは、このブレーキの正体を明確にし、乗り越える方法を提供してくれます。

モチベーションとゴール達成の関係

「やる気が続かない」「何をしたいのか分からない」といった悩みは、実はゴール設定の仕方に原因があることが多いです。

認知科学コーチングでは、「やらなきゃいけないこと(Have to)」ではなく、「心からやりたいこと(Want to)」を見つけることが重視されます。このWant toゴールに向かって進むと、モチベーションが自然に湧き続ける状態が生まれるのです。

また、「達成できそうな目標」よりも、「現状では無理そうだけどワクワクする目標」を設定することで、脳のRASが活性化し、無意識がその目標を達成するための情報を探し始めます。

RASとスコトーマの役割

RAS(Reticular Activating System)は、脳幹にある神経の束で、自分にとって重要な情報を選び出すフィルターの役割を果たしています。

たとえば、「赤い車が気になる」と意識すると、街中で赤い車ばかり目に入るようになりますよね? これがRASの働きです。

逆に、興味がないことや「関係ない」と思っていることは、たとえ目の前にあっても見えていません。これが「スコトーマ(心理的盲点)」です。

認知科学コーチングでは、RASとスコトーマの仕組みを活用して、自分の見ている世界を意図的に変えることができます。

コンフォートゾーンとは何か

コンフォートゾーンとは、「自分にとって快適な心理的な空間」のことです。たとえば、毎日通っている道や、よく話す人との会話など、特に緊張しなくてもできる状態がこれに当たります。

認知科学コーチングでは、「ゴールを達成している自分の状態」を新しいコンフォートゾーンに設定することが重要です。そうすることで、現状を維持しようとする脳の力が、逆にゴール達成に働くようになります。

セルフトークが行動に与える影響

セルフトークとは、自分の心の中で無意識にしている「独り言」のようなものです。たとえば、「どうせうまくいかない」「自分には無理だ」などの否定的なセルフトークは、無意識に行動を制限してしまいます。

逆に、「できる気がする」「少しずつ変わっていける」といった前向きなセルフトークは、自己効力感(=エフィカシー)を高め、行動につながります。

認知科学コーチングでは、このセルフトークに意識を向け、思考のクセを見直すことで、自分にとって望ましい行動が取れるようになるのです。

効果的なゴール設定の原則

want toであること

目標を達成するために最も大切なことのひとつが、「やらなければいけないこと(have to)」ではなく、「やりたいと思えること(want to)」であるかどうかです。

人は義務感で行動するより、自分の内側から湧き上がる「やりたい!」という気持ちに従った方が、継続力も集中力も高まります。これは認知科学でも実証されており、動機の質が行動の持続性や達成率に大きな影響を与えることが知られています。

文部科学省が行った学習意欲に関する研究では、「やらされている勉強」と「自分がやりたいと思っている勉強」では、学習の定着率や学習時間に明確な差が出るとされています。

たとえば、英語を学ぶ目的が「試験に受かるため」ではなく「海外旅行で話せるようになりたい」という場合のほうが、実際に学びが深まりやすいという結果も出ています。

現状の外側であること

次に重要なのは、「今の自分では達成できそうにない」くらいの、現状の外にあるゴールを設定することです。

脳は現状維持を好む性質があります。これを「ホメオスタシス(恒常性)」と呼びますが、この状態に留まり続けると、人は変化や成長を避けてしまう傾向があるのです。

そのため、少し背伸びが必要な目標を持つことで、脳がその目標に適応しようと働き、成長のスピードが加速します。これは神経科学や心理学でも数多くの研究で裏付けられており、「ストレッチゾーン(適度な負荷領域)」に身を置くことが、最も効率的な成長を生むとされています。

たとえば、現在は営業職だが「自分の店を開業する」という目標を持つことで、新しい知識やスキルを積極的に吸収しようとする力が働き始めます。

複数の領域で設定する

人の人生は仕事だけでなく、家庭、趣味、人間関係、健康など多くの側面があります。そのため、ゴールは一つだけでなく、複数の領域でバランスよく設定することが望ましいとされています。

これは「人生のホイール」とも呼ばれ、各分野がバランスよく充実していると、全体的な幸福感や自己実現の度合いが高まりやすくなるという考えに基づいています。

たとえば、「キャリアで昇進する」と同時に、「家族と週末を必ず過ごす」や「週2回の運動習慣を作る」といった目標を並行して持つことが大切です。どれか一つに偏ってしまうと、他の領域でストレスや不満がたまりやすくなるからです。

認知科学コーチングを受けると・・

自己効力感(エフィカシー)が高まる

認知科学コーチングの大きな特徴の一つは、「自己効力感(エフィカシー)」が高まる点です。これは「自分にはできる」という感覚であり、心理学者バンデューラの理論に基づいています。

自分に対する信頼が高まることで、行動を起こす勇気が湧きやすくなり、困難に直面しても諦めずに挑戦し続ける力が育ちます。

たとえば、ある調査によると、高いエフィカシーを持つ学生は、試験や課題に対するモチベーションが高く、学業成績も安定している傾向にあると報告されています(出典:東京大学大学院教育学研究科)。

コーチングのセッションを通じて、クライアントは「できたこと」にフォーカスし、過去の成功体験を再認識することで、エフィカシーを高めていくのです。

コンフォートゾーンの変化で行動が変わる

人は誰しも「居心地のいい領域(コンフォートゾーン)」の中で生きています。しかし、この範囲にとどまる限り、大きな変化や成長は起きません。

認知科学コーチングでは、クライアントの認識の枠組みを広げ、「新しいコンフォートゾーン」へと移動させることを目指します。これにより、今まで怖くて避けていたことにも自然とチャレンジできるようになります。

たとえば、引っ込み思案だった人が「プレゼンで話すのが楽しい」と感じるようになるのは、コンフォートゾーンの再設定による変化です。

人はなぜ変わることができないのか

他人軸になってしまう

認知科学コーチングを受ける際、自分のゴールを設定することが大切ですが、気をつけなければならないのが「他人軸」でゴールを決めてしまうことです。これは、親や上司、世間の期待など、外部からの評価を基準にして目標を立ててしまう状態です。

こうなると、本来の「やりたいこと」ではなく、「やらなければならないこと」や「やったほうが良いとされていること」に意識が向き、自分の意志が置き去りにされます。このような目標では、モチベーションが続かず、途中で燃え尽きたり、やる気を失ったりしやすくなります。

実際に、厚生労働省が行った「労働安全衛生調査(令和3年)」では、仕事のストレス要因として「仕事の失敗、責任の発生」「対人関係(上司・同僚・部下)」が上位に入っており、外部の期待に応えようとするプレッシャーが強く影響していることがわかります。

対処法のポイント

  • 「これは本当に自分のwant toか?」と繰り返し問いかける
  • 誰かに見せるための目標になっていないかをチェックする
  • 自分だけがワクワクできるゴールを言語化する

情報の取り方に偏りが出るケース

認知科学では、私たちの脳には「スコトーマ(心理的盲点)」があると言われています。これは、自分の価値観や信念に合わない情報を無意識に見落としてしまう脳のフィルター機能です。

たとえば、「私はどうせできない」という信念がある人は、「できるかもしれない」という情報に対してスコトーマが働き、無意識にその可能性を無視してしまいます。

このような情報の偏りがあると、せっかくのコーチングセッションでも「本当は気づくべきこと」に気づけなくなってしまいます。

また、総務省の「情報通信白書(令和5年)」によると、SNSの普及により個人が「自分にとって都合の良い情報」だけを選びやすくなっている傾向が指摘されており、意識的に多様な視点を持つ必要性が高まっています。

対処法のポイント

  • セッション中に出てきた言葉に「反発」や「違和感」があったら、スコトーマのサインとして捉える
  • コーチからのフィードバックをすぐに否定せず、一度受け止めてから考える
  • 反対意見や未知の視点にも意識を向けてみる

習慣を変える3週間の法則

コーチングで気づきを得たとしても、それを日常に活かさなければ意味がありません。そこで役立つのが「3週間の習慣化」の考え方です。

心理学では、習慣を身につけるには平均して21日間の継続が必要だと言われています(ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジの研究より)。

そのため、セッション後の3週間をどう過ごすかがとても大切です。

3週間で行うべきこと

  • セッションでの気づきをノートにまとめる
  • 毎日5〜10分、「理想の未来」に意識を向ける
  • ゴールに近づく行動を1つでもいいから続けてみる
  • 行動の振り返りを週1回行う

この習慣を取り入れることで、RASとスコトーマがゴールに最適化され、自然と望ましい行動が取れるようになります。

まとめ

認知科学コーチングは、脳の仕組みを活かして自分自身の変化を促す強力な手法です。本記事では、その基礎理論から実践法、注意点までを網羅的に紹介しました。まずは自分の「want to」に向き合うところから始めてみてください。そして、より深く学びたい方は田島大輔氏の『マインドの教科書』も参考にしてみてください。

  1. 認知科学で行動のしくみ理解
  2. RASとスコトーマがゴールを導く
  3. ゴールはwant toで設定する
  4. 自己効力感が自然と高まる
  5. 習慣化には3週間がカギ

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